ライブ

私は一度もマイケルのコンサートに行ったことがありませんが、映像で見る限りでは、マイケルのコンサートはコンサートを超えたショーだと思います。歌とダンスを融合させたレベルの高いパフォーマーであるマイケルは、MTVの映像のみならず、コンサート演出や舞台演出の世界にも革命をもたらしたということも見逃せない点です。大掛かりなセット、派手な演出、観客の度肝を抜くマジックの仕掛け、大勢のバックダンサーとの競演、大画面の映像等々、マイケルは常に、どういう演出をすれば観客に非日常を体感してもらえるかを考えていました。マイケルのライブは単に歌を聴かせる場ではなく、観客を楽しませる「ショー」でした。

しかし、セットや演出、仕掛けに頼りきりというとそうでもなく、例えば「ビリー・ジーン」をライブでやるときは、一切のセットに頼らず、ビリー・ジーンといえばお馴染みの黒のスパンコールの衣装、クリスタルの白い手袋に黒のハットに身を包んでスポットライトを浴びたマイケルだけが歌とダンスで勝負するというスタイルをずっと変えていません。マイケルは、ファンは自分の代表曲であるビリー・ジーンに対し、ずっと変わらず同じスタイルであることを期待しつつ、かつ目新しい何かに期待していることを知っているので、毎回のライブで同じスタイルを維持しつつも趣向を凝らしているのが分かります。「ビリー・ジーン」はライブの見せ場であり、ムーンウォークが披露されるのもこの曲なので、ライブ中一番盛り上がります。何の助っ人もなくただマイケルがステージで歌って踊るだけなのに一番盛り上がるというのは、真のエンターテイナーにしかできないことだと思います。

1995年のMTVミュージックアワードでマイケルが披露した15分ほどのライブがありますが、圧巻です。次々とヒット曲をメドレーで歌い踊り、群舞あり、有名ギタリストとの競演ありと盛り沢山な内容で全ての観衆を魅了しました。ぜひ一度見て頂きたいライブの一つです。