映画THIS IS IT

この映画は、マイケルが2009年の7月に計画していたコンサートのリハーサルの映像をまとめたものですが、この映画を観た方はかなり多いと思います。そして多くの人は、このコンサートが実際に実現していたら、ものすごいことになっていたに違いないと感じたはずです。少なくとも私はそう感じました。今までのコンサートにはない斬新さと、最先端の技術がそこにはあり、マイケルのこだわりが随所に見られる映画でした。さぞマイケルも楽しみにしていたであろうこの大規模なコンサートは、コンサート直前のマイケルの死により幻となってしまいました。

97年に行われたヒストリーツアー以降12年もの間マイケルはコンサートを計画しませんでした。色々なスキャンダルが続き困難だったのと、3人の子育てに集中したかったのが理由に挙げられますが、やっとコンサートをやろうと決心したのは、自分の子供がやっと自分のエンターテイナーとしての仕事を理解できる年齢に達したので、子供たちに自分がどういう仕事をしているのか見せてあげたかったからだそうです。50歳になった自分が全盛期のようにいつまでも歌い踊れるのか、子供たちに見せられるとしたら今しかないと思ったのかもしれません。コンサート発表の記者会見でも、「この公演が自身の最後の公演となる」とマイケルは言っています。

この映画で、50歳にもかかわらずマイケルは以前と少しも劣っていないことがわかります。少しは劣っても仕方がない歌唱力も健在でしたし、50歳とは思えない、マイケルにしかできないダンスも、さすがファンを裏切りませんでした。完ぺき主義者マイケルにとっては、コンサートが完成形なので、完璧ではないリハーサル時の自分が映る映画が公開されるのを知ったらきっと嫌がったに違いありません。でもマイケルファンにとっては、この映画は間違いなく宝物でしょう。