卓越した歌唱力

マイケル・ジャクソンは幼少の頃から卓越した歌唱力で聴衆を魅了しました。ジャクソン5時代で歌唱力がよくわかるのが「ベン」という曲で、まだ変声期前の可愛らしい、伸びのある声でした。マイケルには兄弟が10人(その内一人は生まれてすぐ死亡)もいました。マイケルの父親が作ったジャクソン5の前身のバンドでは、ヴォーカルは最初マイケルの兄であるジャーメインでしたが、マイケルが加わってからはやはりマイケルがヴォーカルになりました。マイケルのヴォーカルは兄弟の中でも群を抜いていて、マイケルがグループのヴォーカルになるのは必然だったでしょう。ジャーメインがもしヴォーカルだったら、きっとジャクソン5も存在しなかっただろうと思います。他の兄弟が歌っている曲もいくつかありますが、兄弟がいくら多くても、その中から天才は何人も出ないんだなと実感してしまいます。

声変わりを経たマイケルの歌声は、幼少期の美声とはまた別の、みずみずしく中性的で、誰にも似つかない、マイケルにしか出せない声に変わっていました。私は幼少期の声も可愛らしくて好きですが、変声期後の声の方がよりマイケルらしくて好きです。マイケルが21歳のときに発表したソロアルバム「オフ・ザ・ウォール」でその才能が全面的に開花します。アルバムの中の「今夜はドント・ストップ」や「ロック・ウィズ・ユー」等は、マイケルの若くてみずみずしい美声が魅力的です。周囲の反対を押し切って、そのアルバムのプロデューサーとしてクインシー・ジョーンズを迎えたことも、マイケルの才能が開花する上で重要なポイントでした。クインシーは、マイケルとは親子ほどの年齢差がありましたが、マイケルの特徴ある声にぴったり合う楽曲の製作能力に非常に長けていました。天才は自分の才能を最大限発揮するための手段を知っているのです。